【弁護士解説】旅先での事故:自賠責保険を自分で請求する理由と手続き

慣れない旅先での事故は大きな負担です。理想は任意保険による一括対応ですが、相手の対応が不誠実・無保険、または治療継続のためにやむを得ず自賠責保険に請求(被害者請求)を検討する状況が発生します。

そんなときに備え、自賠責保険の手続きを自分でできるかどうか?について考えた記事です。


この記事を書いた人:曖昧

30年以上関西に住み、小さいころは南海電車を眺めて育つ。大学卒業後、何かの拍子に乗り鉄が再燃する。全線踏破は面倒なので諦めるも、電車に乗りながら酒を飲み、ぼーっとするのが趣味。時々仕事をさぼってまで現実逃避の旅にでかけることも。ブログは趣味程度。日頃は、交通事故やマンション管理を趣味とする弁護士。


1. 被害者請求の必要性とメリット(主導権の確保)

自賠責への請求は手間がかかりますが、メリットがないではないです。

  • 治療期間の決定: 通院を邪魔されずに、自分で治療期間を管理し、通院できます。
  • 都度支払い: 途中でも、休業損害など治療中に発生した損害額を自賠責の限度額内で請求・受領できます。
  • 過失による減額が少ない: 自賠責保険は、被害者側の過失が7割未満であれば減額なしで満額もらえます(経験上、過失4割程度で弁護士基準より高額になる可能性も)。

2. 書類準備と最重要行動チェックリスト

加害者側の自賠責保険会社に「被害者請求用の保険金請求書」を取り寄せ、添付リストに従い書類を集めてください。

必須の初期行動

  • 警察に通報: 軽度でも必ず現場で通報し、交通事故証明書を取得できるようにする。
  • 初診: 事故と因果関係を明確にするため、初診は事故から概ね1週間以内に済ませる。

審査で不利になるNG行動(支払いを拒否されないために)

  • 部位を増やさない: 治療途中で負傷部位を増やさない(因果関係を疑われる)。
  • 通院の目的: 通院は医学的な症状改善目的に限定してください。要は金銭目的はやめてください。
  • 整骨院: 月1回は医師の診察を受け、同意を得る。
  • 車両損害: 車の損傷が極めて小さいと、傷害との因果関係が否定され、支払いを拒否されるリスクがあるので注意です。意外と、あります。相手の保険会社が早期に打ち切る場合、このリスクがあることが多いです。

提出書類のポイント

  • どうしても実印が押せないとき、印鑑証明書は免許証の写しで代替できる場合があります(要事前確認)。
  • 同乗者として請求する場合、こちらの自賠責ではなく、相手の自賠責に請求する方が望ましいです(所有者や運転者との身分関係について問い合わせが入るため)。

3. 保険活用の優先順位と手続きの選択

保険活用の優先順位

  1. 人身傷害保険(最優先): ご自身の任意保険に付帯していれば、過失に関わらず保険金を受け取れ、手続きが最もスムーズです。任意保険なんかより、まず活用を検討してください。
  2. 弁護士費用特約(そのつぎ): 特約があれば、費用負担なしで、手間も少なく弁護士に依頼可能です。人身傷害保険を使えないケースだと、要検討。

手続きの注意点

僕は、基本的には被害者請求は自分でできると思っています。

被害者請求だけのサポートを受けたい場合、弁護士よりも行政書士の方が安いんじゃないか?と思う方もいるでしょう。

でも、行政書士は基本弁護士利用特約が使えませんし、自賠責の請求に限れば、行政書士の方が高額だと感じています。(行政書士の報酬を見ながら、僕が数万でやっているのバカらしいなぁ...とか思うことも多々。)

そういう理由で、頼むなら弁護士です。

ただ、後遺障害の等級をあげたい場合に、異議申立目的で、それを得意とする行政書士に依頼することについては、個人的には賛成です。あれは職人です。