レンタカーのNOC補償は本当に必要か?「入らない」という選択肢の是非

レンタカーの「安心料」NOC補償は必要か?

レンタカーを予約する際、多くの人が悩むのが「NOC(ノン・オペレーション・チャージ)特約」の加入です。

「免責補償に入っているのに、なぜさらに追加料金が必要なの?」

「数日間のレンタルで数千円の特約料を払うのは無駄ではないか?」

この記事では、レンタカー屋さんで謎にとられる「NOC特約」について、年間50件程度交通事故事件を扱っている弁護士目線で語ります。

そもそもNOC(ノン・オペレーション・チャージ)とは?

「NOC補償は入らない」という判断をするには、まずNOCが何であるか、その内容を理解する必要があります。

NOCは「罰金」ではない。約款に基づく損害賠償である

NOCは、事故や汚損によりレンタカー会社が車を修理に出している期間、営業できなくなることによる損害(休業損害)に対する賠償金であり、免責保証とは無関係です。

もらい事故でも請求されることも

NOCはもらい事故の場合でも支払う必要があるとネット上に書かれていますが、疑問があります。大手のニッポンレンタカーの貸渡約款を見ると、全くのもらい事故の場合には必要がない旨書かれています。(以下に引用)

借受人は、借り受けたレンタカーの使用に関し、借受人又は運転者が当社のレンタカーに損害を与えたときは、その損害を賠償するものとします。ただし、借受人及び運転者の責めに帰することができない事由による場合を除きます。

前項により借受人が損害賠償責任を負う場合、事故、盗難、故障、レンタカーの汚損・臭気等により当社がそのレンタカーを利用できないことによる損害については料金表等に定めるところにより損害を賠償し、又は営業補償をするものとします。

トヨタレンタカーの約款でも、同様の条項になっています。

現に、僕は友達との初めてのドライブ旅行の時に追突事故を起こされていますが、その時はレンタカー屋からNOCの請求はありませんでした。

但し、少しでもこちらに過失があるときは、支払義務がありますし、それを事故の相手方に請求することも現実的には無理です。

NOC補償は、事故が起きた際に原則として支払いが義務付けられる『NOC』を免除する特約です。僕は「擦り放題プラン」と呼んでいます。

NOC補償が「いらない」と考える理由

理由1:リスクが限られている

NOC補償の費用(例:1日1,000円)と、事故を起こす確率を比較した場合、「入らない」方が合理的なコスト判断となります。上限のない事故の賠償と違って、NOCは2万円や5万円という定額なので、リスクが読めます。

例えば、1日500円でNOC補償に入れる場合、40回運転して1回擦るような人であれば、入っておいた方がよいということになります。

僕は、あまり運転しないので、いつも入っています。

根拠2:NOC5万円の事故が起こる時は・・・

自走不能になる事故が起きた場合には、5万円のNOCを支払う特約になっていることが通常です。ただ、自走不能になるような事故が起きる可能性は非常に低いです。5万円は大きな金額ですが、その程度の事故が起きた場合には、怪我をしているケースも多く、身体の損害に対する賠償金を得られる可能性も高く、その場合はそこから払えばよいですね。

補償に入っていても報告は必須

NOC補償は、事故でレンタカーが使えなくなった間の休業補償(数万円)を免除してくれるサービスですが、注意点があります。事故の報告を怠らないということです。

  • 警察への連絡:単独事故でも事故があったことの立証に必要です。
  • レンタカー会社への連絡:後で伝えると怒られます。

上の2点は必須で、事故の報告をしないなどの契約違反があると、その行為自体が約款上の補償適用外に該当するため、NOC補償が使えなくなったり、最悪の場合は保険も使えないことがあり得ます。

少し擦った程度の場合に、知らんふりして返却したことや、本当に気づかない間に車が傷ついていたことがありますが、返すときに1回怒られました。

交通事故の初動対応

弁護士目線で考えた、交通事故の初動でのよくある質問です。

Q:誰に連絡したらいいの?
A:警察 → レンタカー屋(自分の車なら保険会社)
Q:やってはいけないことは?
A:勝手に示談することです。「保険あるから請求しませんよ」もだめです。以前、「気にしないでください」と事故後に言った方がいて、裁判に負けたことがあります(控訴審で勝ちましたが)。
他方、相手の方を気にかけないのもトラブルのもとです。
Q:やっておくべきことは?
A:証拠保全です。事故の状況の写真撮影をした上で車を移動させるべきかと思います。ドライブレコーダーがついている場合は、自分の車の場合は上書きを防ぐために一通り終わったらSDカードを抜いておくべきかと思います。レンタカーの場合で、怪我がなければそこまで要らないですね。
Q:警察に診断書は提出するべき?
A:ケースによります。大きな怪我をしている場合や、事故態様に争いがある場合は診断書を提出するべきです。

まとめ:

弁護士目線でNOC補償について検証してきましたが、結論として、NOC補償は必ずしも入らなくてはいけないものではありません。

NOC特約は「入らない」という選択も合理的

NOCの最大リスクは2万円か5万円という定額であり、ご自身の運転スキルや利用頻度を考えた時、数千円の補償料を節約する判断は十分に合理的です。